歯周病治療器について
こんにちは。
セントティースデンタルクリニック勤務医の藤 大補です。
最近ニュースで世界初の歯周病治療器が東北大のベンチャー企業が開発したと話題になっていた為、私見とともに歯周病と歯周病治療器について解説したいと思います。
歯周病は、歯及び歯周囲組織の慢性的な炎症性疾患であり、適切な治療と予防・管理が重要です。近年歯周病治療の分野では技術革新が進み、ブルーラジカル P-01や患者行動変容アプリ「ペリミル(PeriMile)」といった新しい技術が開発されました。これらの技術は、歯周病の予防と管理において世界初の画期的な効果をもたらすと期待されています。
この発明されたブルーラジカル P-01とペリミルについて詳しく説明し、それぞれの特徴や利点、歯周病治療における役割について考察します。
ブルーラジカル P-01
ブルーラジカル P-01は、光線療法を利用した世界初の歯周病治療装置です。この装置は、特定の波長の青色光を照射することによって、歯周ポケット内の細菌を殺菌します。青色光は光感受性物質と反応し、ヒドロキシラジカルを発生させることで細菌を効果的に除去します。(詳しくはあまりにも長くなるので割愛します)
ブルーラジカル P-01の特徴と利点
- 非侵襲性治療:ブルーラジカル P-01は外科的手術を必要とせず、痛みや出血のリスクを最小限に抑えます。これは、歯科治療における恐怖心を軽減し、治療を受けやすくします。
- 高い殺菌効果:青色光により発生したヒドロキシラジカルは、歯周病の原因となる細菌に対して強力な殺菌効果を発揮します。これまでの従来の方法と比べて、効果的かつ迅速に細菌を除去することが出来ます。
- 短時間での処置:ブルーラジカル P-01を用いた治療は比較的短時間で終了するため、時間的制約は少なくなります。
- 副作用が少ない:薬剤を使用しないため、アレルギーや耐性菌を育てる危険性がありません。またこれにより、幅広い患者に対し安全に使用できます。
患者行動変容アプリ「ペリミル(PeriMile)」
ペリミルは、歯周病予防と管理のために開発されたスマートフォンアプリです。このアプリを利用者が日常的に使用することで、自己管理能力を高め、歯周病の予防と治療に大いに貢献することが出来ます。ペリミルは、行動変容の原則に基づいて設計されており、利用者のやる気を高めるための様々な機能があります。
ペリミルの機能と利点
- セルフモニタリング:アプリ利用者はアプリを通じて自分の口腔内の状態を記録し、経過を確認することができます。これにより、日々の口腔内の状況を把握しやすくなり、予防することが容易となります。
- 教育コンテンツ:ペリミルは、歯周病に関する情報や予防策、適切な歯磨きの仕方などを教えてくれます。アプリ利用者はこれらの情報を学び、自身の口腔ケアに役立てることができます。
- リマインダー機能:定期的な歯磨きやフロスの使用を促すリマインダーを設定することにより、アプリ利用者が習慣的な適切な口腔ケアを行いやすくします。よって日常的な口腔ケアの持続性が向上します。
- データ共有:ペリミルは、アプリ利用者と歯科医師との間で日々のデータを共有することで、歯科医師はアプリ利用者の状況をリアルタイムで把握することで適切なアドバイスや治療計画提案を行うことができます。
- 行動変容サポート:アプリは行動科学に基づいたアプローチを採用しており、患者が健康的な口腔ケア習慣を身につけるためのサポートを行います。例えば、目標設定や進捗状況のフィードバックにて利用者のやる気を維持します。
ブルーラジカル P-01とペリミルの併用効果
ブルーラジカル P-01とペリミルは、それぞれ異なる方法で歯周病の治療と予防に役立ちますが、共に利用することで相乗効果が見込めます。
- 包括的な治療:ブルーラジカル P-01による効果的な殺菌と、ペリミルによる日常的な自己管理が組み合わさることで、歯周病の再発リスクを低減し、口腔の健康を長期的に維持することが可能です。
- 利用者のモチベーション向上:ペリミルの使用により、利用者が自身の状況を理解しやすくなることで、治療に前向きに取り組むことが出来ます。その為治療の継続性が向上することで、ブルーラジカル P-01の効果を最大限に引き出すことができます。
- 個々人に合わせた管理:ペリミルを通じて得られる情報を基に、歯科医師は個々の利用者に最適な治療計画を策定することができます。ブルーラジカル P-01を用いた治療と組み合わせることで、より個々人に合わせた効果的な口腔ケア・管理が実現します。
以上簡単ではありますが、ブルーラジカル P-01とペリミルについて解説させていただきました。
発明された歯周病治療器における論文も拝見いたしましたが、無作為比較試験を実施されており、ブルーラジカル P-01の効果の可能性を示唆されるものした。
信頼性は高いものかと考えますが、まだまだプロダクトされたばかりであり、絶対的なN数や検証期間が短いものであり更なる研究が必要かと考えます。
しかしこの世界に先駆けて日本が発表したのは意味があることだと考えますし、今後も更なる研究がされることで、研究活動に対して世界に後れを取りがちである日本が活躍できる可能性を広げたことは有意義であると考えます。
2024年 世界歯学部ランキングに東北大学がランクインしたことも踏まえてこれからの東北大学の更なる発展を願います。
ただ私といたしましては新しい機器の開発に目が行きがちでありますが、歯周病の管理という点におきましては、ペリミル等の管理媒体がより一層重要と考えます。
歯周病は罹患者が一番状況を把握しにくく、一時頑張って治療しても維持・ケア・管理しないことには効果が減弱してしまう疾患です。
俗に云う生活習慣病と同じで、人生が続く限り付き合っていく必要があります。よって血圧や血糖の様に、自分自身が現状を把握・理解することが肝要です。
まず自分自身の口腔内がどのような状態か分からなければ、是非歯科医院を受診されてみてはいかがでしょうか?
長文読んでいただきありがとうございました。
セントティースデンタルクリニック
勤務医 藤 大補
兵庫県の小学校、中・高校を卒業
2013年 福岡歯科大学歯学部卒業
2014年 神戸大学医学部附属病院歯科・口腔外科研修修了
2014年~2023年 神戸大学歯科・口腔外科関連病院 勤務
2024年 セントティースデンタルクリニック勤務 現在に至る
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