知っておきたい誤嚥性肺炎のおはなし!
- 2021年8月15日
- 一般
こんにちは。2021年9月に東岸和田で新規開院する「セントティースデンタルクリニック 」院長の高階です。
今回は「誤嚥性肺炎」についてお話ししたいと思います。
「誤嚥」とは、空気以外のものが、声門を超えて気管内に入ることで、「誤嚥性肺炎」とは、細菌が唾液や食べ物などと一緒に食道ではなく気道を通り、その後、気管支や肺に入ることで炎症が起こり発症する疾患です。厚生労働省の2020年における死因の割合を見てみると、誤嚥性肺炎の割合が3.1パーセント、肺炎は5.7パーセントとなっており、悪性新生物(がん)や心脳血管疾患などに次ぐ高い割合を占めています。今問題となっている新型コロナウイルス感染症の2020年の死亡数は3,466人です。肺炎を除く誤嚥性肺炎だけの死亡数は、なんと42,746人で、新型コロナウイルス感染症の死亡数の10倍以上となっており、我々歯科関係者としては真剣に向き合っていくべき疾患です。
誤嚥には、喉頭蓋(食べ物を飲み込んだときに、それが気管に行かないようにフタをして、食道に導く働きをする気管)の働きと食べ物の通過タイミングによって次の三つのパターンがあります。①嚥下前誤嚥、②嚥下中誤嚥、③嚥下後誤嚥です。まず、嚥下前誤嚥とは、食べ物を口腔内にとどめることができず、あるいは嚥下反射の遅れや反射が起きないことにより気管に入る事です。次に、嚥下中誤嚥とは、嚥下反射は間に合っているものの、気管を閉じる力が弱いため、食べ物が押し込まれてしまう事です。最後に、嚥下後誤嚥とは、一口の量が多く、あるいは嚥下の力が弱いため咽頭などに食べ物が残り、あふれ出て気管に入る事です。要は、食べ物を食べている時、飲み込んだ時、飲み込んだ後に誤嚥を起こします。いずれも加齢や基礎疾患などにより摂食・嚥下機能の低下により起こるものです。通常であれば、気管内に異物が入るとむせ(咳き込み)が起こります。状態が悪くなると、この反射が起きず、睡眠時などに気づかないうちに唾液や分泌物が気管内に入ることがあります。これを、不顕性誤嚥といい重篤な状態へと導いてしまいます。
それでは、どのようにこの誤嚥性肺炎を予防していけば良いのでしょうか?
まずは感染源の対策です。口腔・咽頭の細菌叢が増悪しないように口腔ケアの徹底が必要です。汚れた状態で入れ歯を使用し続けたり、虫歯や歯周病の歯を放置していたりすると危険です。ここで歯科医院の果たす役割が大きくなってきます。
次に、感染経路への対策です。摂食・嚥下障害により誤嚥を起こすことを防がなければいけません。全身的な疾患も関係してくるので専門の機関での検査治療が必要な場合も多いですが、かみ合わせの治療や食事指導など一般歯科でできることもあるので、是非ご相談ください。
最後に、感受性宿主の対策です。免疫力低下により肺炎を起こすので、患者さん自身の抵抗力の低下を防ぐことも大切です。
この超高齢社会では、今後皆に誤嚥性肺炎のリスクは高くなってくるはずです。少しでも早いうちに歯科の治療、予防の必要性を一人でも多くの方々に知っていただけると幸いです。
セントティースデンタルクリニック
院長 髙階 繭次
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